ああそうですね、と答えてみた。


「…クラギは野良犬に食われる程弱かったっけ?」

「お前が言ったんだよ」

「ほら、おとーさんが行ってしまう」


つんつんと指さす先はタチバナの背中。かなり遠い。

その背中を追う。
少しだけ振り向くとミカミは穏やかな笑顔。

それから廊下を歩いて行った。











……どうしてこんなことに。


「その女の子が車買ってとか言いやがんの」


どうして、


「そんな金、学生にあるかって」


なあ? と肩を竦めてみせるのはタチバナではない。
因みにミカミも居ない。