無知な奴の周りではそれが起きていないのかもしれない。起こっても分からないのかもしれない。 それでも、どこかで起きているそれが、偶然にも、あたしの所で起きた。 「今日もどこかで起きているそれを、あたしは絶対憐れんだりしないって決めてる」 「僕は恐ろしい程恵まれて生きてきた」 こちらに伸ばされた手。 それを見ていると、丁度頬骨あたりに当たる。 恵まれて、ね。 境遇もあたしと真反対とか、笑える。 「友達からで良いので、仲良くしてくれる?」 目元を撫でられる。泣いてはいないけど。