人の気配がないのを良いことに、そこで立ち止まる。ミカミは一度腕時計に目をやって壁にもたれかかった。


「ミカミって、どうして潔癖症だったの?」

「さあ…? ある日突然。と言っても、喧嘩に巻き込まれた後の話ですけど」


ふうん、と頷く。納得するフリだけした。

もしかしたらミカミの本能が悲鳴を上げていたんじゃないか。
あまりにも女をとっかえひっかえしていたらしいから。

顔を覗き込まれて、首を傾げた。


「どうしてクラギは僕の隠れ家の場所が分かったんですか?」

「隠れ家って」