浅はかにも、生きていると感じる音。


「ミカミの全部が欲しいなんて、我が儘は言わないから」

「…はい」

「嘘も隠し事も、沢山していいから」

「…うん」

「クソ真面目で、ひ弱な優等生のままでいいから」

「うん」


呼吸音。
窓の外からする小鳥の囀り。

落ちてくる涙。

世界で一番美しい朝だと思った。


「愛してるよ」


口にするには簡単で、行動するには難しくて、求めるには安易すぎて、与えるには複雑過ぎた。

脈絡のない愛の言葉を紡いだ彼女はやはり綺麗で、それを伝えると、可愛く動揺した。