前に向き直す。
「え……?」
ミカミが居なくなっていた。
影も形も、後ろ姿も無い。
曲がり角まで走ったけれど、何処にも居ない。
春の夜風が頬に当たる。
冷たく濡れていると気付いたのは今更で、それを乱暴に拭う。
あたしの方がよっぽど迷子のこねこちゃんって感じだ。
…もういいや。
店の近くまで戻ったけれど、解散したのかみんなが居ない。その足で駅まで歩く。
居るはずのない小学生の姿を探して苦笑いしていると、背中をつつかれた。
振り向くと、久しぶりに見るキッシー。
「良かったあ、会えて」
安堵の溜め息に救われるのは、あたし。