人の間をかき分けるようにして進む。
その背中を追いかける。


「ミカミ」


大きい声を出したつもりなのに、呟くくらいの小さな声になってしまった。
食べたり飲んだりした物が口から出てきそう。

でも、立ち止まったら見失う。

荒くなる呼吸を落ち着かせた。

なんで。


「何で、恵まれてるなんて言ったの?」


ミカミは止まらない。

あたしの声は届いていないのか。