いつも高みの見物ばかりのコウヅカが、わざわざ下がってきたらしい。 二人してぽかんとしていると、あたしも後ろから羽交い締めされて引き摺られた。 「帰るぞ、ケーサツに見つかったら厄介だ」 「ちょっと、タクト待って」 砂利の所まで戻ってタクトが止まる。ミヤシタを引っ張るコウヅカの背中を呼び止めた。 その顔がこちらを向いた。 「可笑しいって思う」 「何を?」 「兄が死んだのも、教室内が分裂して話をしないのも、こうして意味もなく争うのも、」 笑顔が見える。朗らかというよりも綺麗に笑う人。