Golden Apple


視界が歪んでいる。

顔についているのが血なのか泥なのか、汗なのか涙なのかも分からない。


「コウヅカ、結婚するんだ」


それでも、分かる。

ミヤシタは泣いていた。
あたしの肩口に顔を埋めて、震えた声を出す。

その切ない声色に、あたしもつられて泣きそうになってしまう。

結婚。

尊いような薄いような。

殺意も戦意も消えて、ミヤシタの大きな背中を撫でる。

ミヤシタはずっとコウヅカが好きだった。

それをあたしは知っていた。