Golden Apple


「ぜってーやだ。あんな所に入ったら俺まで死にかねない。そこのおねーさんに考えがあんじゃねーの?」


そうしてコウヅカを指す。当人は微かに笑みを迎えて、自分と元自分の獣達のぶつかり合いを楽しんで見ていた。

正気じゃない、と感じた。





─────正気じゃないどころじゃない、狂気で満ち溢れてる。

ぺっ、と口の中に溜まった血と唾を吐く。


「殺すか殺されるか」


ミヤシタが呟いた声に「あ?」と返す。また口の中が血の味になる。


「いや、クラギと殺し合いするとは」

「ああ、確かに殺し合いだ」

「本当にお前は怖いもの無しだよな。昔から」