驚きながらそれを見て、ぽかんとしているあたしに呆れた顔をした。長く息を吐くミカミ。 サイレンが近い。 帰る場所をくれるミカミ。送ってくれるのもミカミ。 「行ってきます」 あたしからもう一度唇を合わせて、そこから動いた。 小学生と一緒で、後ろを振り返ることはしなかった。 沸々と燃える怒りを腹の奥底に溜めて、河川敷まで走った。