換気扇を回してからバーを出る。その直前に、 「ミカミが拉致られたんだとしたら、確実にあっち側の奴等だ」 「……知ってんの?」 「いや、仮定の話」 「知ってんなら教えて」 あたしの中には確信があった。 ミカミのいる所にはきっと卯月もいる。 「ヤケに真剣なお顔ですね、姫」 「ちゃかしてんなよ」 「俺はミカミの敵じゃないし、正式にこっちの頭を辞めたわけでもない。お前等は可愛い子供みたいなもんだよ」 回りくどい言い方は好まない。