長い脚を放り出して天井を見上げていたタクトはあたしのことを目だけで確認するとビール缶の中に埋まっていたマッチをこっちに投げた。


「マッチって…」

「点けらんねえのか、子猫ちゃん」

「酔ってるのか素面なのか分からない」

「貸せ貸せ」


マッチを取られて点けてくれた。有り難くそれを貰って、タクトが起き上がる。

この前見たときより細くなったような、気の所為だろうか。


「ミカミが居なくなったの、知ってる? ついでに卯月も駅に来なくなった」

「卯月?」