Golden Apple


周りを見回すけれど何かがあるわけではない。視線とかじゃなくて、悪寒だった。


「今、何かあった?」

「何か?」

「いや…何でもない、ごめん」


キッシーは更に心配そうな顔をしてこちらに近寄ろうとした。それを制して、トスをあげるのを続ける。

風邪かな。この前のがちゃんと治ってなかったとか?

そんな風に思いながら放課後になった。


「…ねえ、ミカミ見た?」


帰ろうとするタチバナを引き止める。振り向いたタチバナは、「いや」とだけ返事をした。


「電話…って、ああ、お前携帯持ってないんだよな。時代錯誤」