「久しぶり」 「どうしたの? その傷」 小学生があたしの顔を見上げる。何かと頬を拭ってみると掠り傷でもあるのか小さい痛みを感じた。 「さっき喧嘩に巻き込まれた」 「また喧嘩」 「卯月、なんかミカミに似てきたな」 恨めしく言うときょとんとしている。そんなつもりはないのか、それともミカミが誰なのか分からないのか。 どっちでも良い。あたしは小学生の隣に座って、改札から出る人間をぼーっと見ていた。 レナコに会えれば良いと思いながら。