タクトが気まずそうに目を逸らす。疾しいことでもあるのか。 「今の代で、タクト程本職に顔が効く人間が居ない」 タチバナが言った。 「別に引き継ごうとかも思ってねえよ。なあ、ミカミ。お前なら分かるだろ?」 その確信は一体どこから。 あたしもミカミの顔を見る。 「黄金の林檎をわざわざ高額で買い取ったくらいなんだからよ」 その目には、冷たさがあった。 黄金の林檎。 ゴールデンアップル。