何の話をしていた時だったかは忘れた。ただ、正月の寒い空気の中言われたのだけは思い出せる。 「そしたら、結婚してキミを連れて何処か遠い所へ行けたかもしれない」 結婚、と聞いて、あの結婚届が頭を過ぎる。 そういうことか、だから二年。 ミカミの夢物語が嘘だとしても、結構嬉しくてまた目元を拭うフリをして涙を拭いた。 「泣いてるんですか?」 「お前目悪いんじゃないの」 「願望が見えただけでしたか」 耳に口付けが落ちる。ピアス穴の沢山ある耳を味わうように食まれて、ミカミの細い指に指を絡めた。