あたしは背もたれに背をつけて天を仰ぐ。段々春に近付く陽気の中に、雪を降らせてやるぞって感じの雲が見えた。


「出るんじゃないの? 女連れ込んだりしてんなら」

「セケンテイってのがあるから」

「お前…本当に小学生?」


軽くランドセルを叩く。

よろけた小学生は恨めしそうにこっちを向いて、眉を顰めた。


「いいね、違う場所」

「どういうこと?」

「あたしはここからきっと、一生出られないからさ」


未来があるお前が羨ましい、なんて。
婆くさいか。