この子は決めたんだ。あたしには分からない時に、多分一人で。
キッシーの全てを知っているつもりは毛頭ない。無いからこそ、分かるかもしれない。
「タクトさんを嵌めようとして罰を受けたの。だからもうこっちに来れないし、私も学生だからあっちに行くのは難しい」
ふむ、と頷く。
「彼はこっちに来てくれるけど、見つかったら大変になる。この前もすごい喧嘩して…」
トレイの角を見つめていた目。
あたしは後ろ首を一度触る。さて、それにしてもどうすれば良いものか。
あたしにはミカミみたいな作戦脳はないし、トーガみたいな情報網もないし、タチバナみたいに誰かの言うことも聞けないし。



