冷たい風が通って二人して首を竦めた。あたしは持ってきたコートを羽織って、違和感に気付く。
「これミカミのだ…間違えた」
「明らかにデカいよそれ」
「黒いから間違えたんだよ。あー本当にムカつく…」
「そういえば兄ちゃん、姉ちゃんの居場所聞きに来たよ」
羽織ったままいつもの場所に座る。ミカミがあたしのことを、え、なんで。
首輪があるんだから別に聞かなくでも良いのに。
ミカミの考えていることの半分は分からない。
「あたし、樹海に捨てられてたの。有り得ないでしょう」
「この時期に捨てられるって…生きてたのが有り得ない」



