あたしの頭はもう沸騰寸前で、何を言われているのかよく分からなかった。兎に角イライラした。
部屋から出る。ミカミもトーガも着いてこなかった。
リビングに置いてあったコートを掴んで玄関の扉を開いた。
気が付くと駅にいた。
そこまで歩いた記憶がすっかり抜け落ちている。
「姉ちゃん」
つんつんと袖を引かれた。ふと下を見ると、小学生の姿。
「久しぶり」
「久しぶり…って、背高くなったんじゃない?」
「成長期きた」
いつもの位置より高い所に頭がある。ランドセルが窮屈そうだった。
嬉しそうな笑顔は変わっていないけれど。



