長いソファーから飛び出た脚。また男。 指を掴んでいた手を離して、ミカミがそれに近づく。 「タクト、起きてください」 ソファー越しに揺すった。むくり、と起き上がったのは色の抜いた髪の毛。 「あ?」 「いつから寝てたんですか、灰皿の中身が山になってますけど」 「わかんね」 首を回してバキバキと音を鳴らす。こちらへ向いた視線に、どこかで会った気もした。 訝しげな顔と眼。それに気付いたミカミが言葉を発する。 「クラギです。コウヅカの処にいた」 「ああ、お前が」 そして、蘇る記憶。