分からなくて結構。あたしだって受け止めたわけではない。


「おままごとみたいなもん」

「そんなの分かってる。お兄ちゃんまだ16だし、結婚出来るわけないでしょ」


呆れた笑い方。

ふと、脳裏に蘇るのは婚姻届。
そして唇に籠もった熱。


「…あ」

「え、何?」

「何でもない。ほら、さっさと遊びに行ってきな」

「言われなくても行く」


挨拶もしないでリサは背中を向けて行ってしまった。

あたしもそれを長く見続けることもしないでこちら側に帰る。

レナコの後ろ姿に似た女を見て、思い出した。