故意に傷付けた。 冷静な自分がそう言い放つ。 それは先程レナコに聞いた情報。気になる男のことはなんだって調べる女。 兄貴を敗北に追いやった奴等の御機嫌取りをしていたその気持ち。 「…クラギ」 ミカミに窘められた。そして渡った携帯の後ろを開けて、メモリカードと言われるものを床に落とす。 丁度トーガが帰ってきた。 ミカミが容赦なくそれを踏んづける。 いつかのトーガの黒縁眼鏡とシンクロした。