あたしとミカミに気付いて、こちらに来る。でも二人の背中から視線は外さなかった。 さっき渡された携帯と同じものを手に持っている。 「タチバナ、今入った」 『ああ、了解』 機械音。少しそれに驚く。 「クラギ、約束覚えてますよね?」 「は? 何を」 ミカミがあたしを見上げる。何を、という程沢山約束もしていないのだけれど。 ホテルのロビーには一人も人が居ない。 「喧嘩しない。雑魚は相手にしない」 言われた言葉に頷く。 確かに約束した。