殆ど? 唇に人差し指をあてる。でも、それはすぐに理解出来た。 「ほら、見てみろよ」 「やっぱりな」 「スパイに決まってんだろ、あんな奴」 駐輪場には少しの生徒が居て、すれ違ったときに聞こえた言葉。 確かに、そうだ。 人というものはいつだって適応能力が衰えていて。 「失せろやバカ女」 足を止める。ぐるりと視線を後ろにやる。 すれ違ったロン毛の男と他二人もこちらをしっかりと見ていた。 いや、ちがう。 古い言葉で言うと、そう、メンチ切られていた。