一度、寒いからといってファミレスでミートパスタを奢った翌日。 小学生は眼の下を腫らして駅のベンチに座っていた。 時折、家の男の女が作る夕飯を食べることがあるらしく、昨晩はお腹がいっぱいで食べられないと言ったら頭を叩かれたらしい。 そのことを考えていなかったあたし自身に腹が立った。 あたしは、見えないものは何も見えていない。 「いこ」 小学生の手を取って歩いた。 久しぶりにタチバナを見た気がする。 声をかけようと思ったけれど、近くにリサも居たので止めておく。