ミヤシタのことだろう。 天井に描かれた真っ赤なスプレーの大きな落書き。それを意味もなく見上げる。 「聞いてますか? それとも黙秘ですか?」 「聞いてる。中学から一緒で、アイツはコウヅカの右腕…ってことは知ってるか」 「まあそれくらいは。付き合っていたんですか?」 声がこちらに向いた。次はあたしの方を見ているようで、あたしは見なかった。 裏腹。 「うん」 人というのは何時だってソウイウ話が好きらしい。 誰と誰が寝たとか。誰と誰が浮気したとか。