「タチバナには悪いけど、あたし、お前の妹のこと嫌」 ダーツバーの隅の席。 ソファーに身を沈めているタチバナに向かって言う。 隣に座ったトーガがレモンスカッシュに口をつけようとしたのを止める。飲んでいたらまた噎せていたかもしれない。 当のタチバナはさして驚きもせず、あたしのことを見た。 「うん、悪いな」 「ちゃんと教育し直せば? 今からならまだ間に合うかもしれない」 「ああ」 「兄に相談も出来ない妹にすんじゃねえよ」 あたしの口から出るのは、 「クラギちゃん八つ当たりしない」