少し歩調が緩まって、隣を歩く。 「クラギは綺麗だから、ずっと触れていたい」 「は!?」 いつもより大きい声を出したあたしを見たミカミが嬉しそうに、 「本当に可愛いですね」 「意味わかんない、お前の思考回路怖い」 「そうですか? 誰よりもまともだと思いますけど」 愉快そうに笑った。 自分でまともって言った。 こいつ、またあたしを馬鹿にして楽しんでる。 「…誰かいる」 視界に入って、足を止める。 同じようにミカミも足を止めて、マンションのエントランスの方を見た。