その犯人を睨むけれど、こちらを見ていなかった。
「実害はあるんですか?」
「聞いたけど、関係ないの一点張り」
ビニール袋にガラスを入れ終わったタチバナ。漸く立ち上がってソファーに座る。
「女の子は複雑だからねえ。あ、クラギちゃんは別だから大丈夫」
「お前喧嘩売ってんの?」
「クラギ、タケウチって知ってますか?」
ミカミの声に椅子に戻る。
首を振ると、何が楽しいのか笑みを浮かべた。
「向こうでも聞いたこと、ありませんか?」
「直接顔見てたら、会ったか会ってないかくらいなら思い出せるけど。聞いたのは覚えてない」



