何も無くはなかった。

テレビとソファー、小さい冷蔵庫。
そして異質な赤い卵形の椅子。

躊躇いなくそれに座って、くるくると回転させる。


「気に入りましたか?」

「うん」

「荷物は明日の昼、届くようになってます」


緩やかにとまる。足を床につけた。

ミカミがあたしを見下げている。何かまだあるのかと首を傾げれば、苦笑いされた。


「何も、疑問に思いませんか。コウヅカが君を手離したこと、急にこちらへ来ること」

「コウヅカがそういう奴なのは誰よりも分かってるし、別にあたしはどこに居ようと構わない」