口にするのは簡単。だが、待てあたし。 ミカミからの痛いくらいの視線とタチバナの妹という立場。兄の、しかも仲間内の居る前で簡単に喧嘩をふっかけるようなことは御免だ。 「何? お前日本語わかんねーの?」 「言っとくけど、リサ、あんたになんか謝らないから。なに我が物顔でここに来てるわけ? うざいんだけどっ」 ペッと吐き捨てるように千円札を捨てて出て行く。 可哀想なことに、誰も追いかけてやらない。 タチバナの妹があんな我が儘だなんて思ってもみなかった。実際考えたこともないけれど。