さっきから自分の声を聞いて貰えないタチバナ。怒っているらしいのに、少し不憫だ。
尤も、今邪魔しているのはあたしだけれど。
リサと呼ばれたタチバナ妹がこちらを睨む。
「そのグラス、あたしのなんだけど」
「…はあ? ああ、これで買えば?」
壊れた百均グラスに一度視線を向けた後、持っていたブランドバッグからこれまた同じブランド財布の中から千円札を出した。
ああ、こいつとは本当に合わない。
最初は直感と先入観だったものが、確信に変わっていく。
「言うことあんだろ」
「あんた、何様のつもり?」
ぶっ飛ばしたろか。



