「取り込み中すみません」 穏やかな声が響く。 タチバナの妹の顔色がパッと変わった。 あ、と、女故に、その意味がわかってしまう。 「ミカミ…悪い、場所借りてる。見ての通り、こいつが帰ってきてて」 「確かに、見ての通りですね。何かあったんですか?」 ミカミがリビングに入る。後ろに張り付くようにあたしも入ってサッサと定位置の赤い椅子に座った。 ふと見たトーガの口元には隠すような笑み。 「面白い?」 「うん? んー…そうかも、タチバナが怒ってるのは珍しい。クラギちゃん運良いな」