Golden Apple


なら、誰だろう。

リビングの方から怒鳴り声が聞こえた。女のヒステリックな声。

…一番苦手なタイプかも。

思いっきり顔を顰めたあたしの横を通り抜けたミカミ。静かにリビングの方へと向かう背中を追う。


「どうしてよ!」


声が飛んでくる。
あたしはそのまま飛ばされるかと思った。

前に立ったミカミを避けてその中に居る人間をか確認すると、ソファーに座るトーガと目が合う。


「ん、お帰り」


至って普通の態度。ヒスを起こしているのはトーガには関係のない奴なのか。

ミカミが返事をしないのであたしも黙っておく。