開けてない、と思うのと同時にそれが開く。なんだ、エスパーですか。 驚くあたしがミカミを見上げると、同じように驚く顔がそこにはあった。 そして怪訝に変わる。 「いや、ちゃんと閉めて出てきた」 「じゃあタクトですかね」 扉を開いて玄関を見る。三人分の靴。お客様、多過ぎやしないか。 三足ある内の一足は明らかに女物だった。あたしの今ある記憶の中で、女でここに来たことのあるのは、タクトの弟と一緒に来た女。 それだと、三人で一致する。 「タクトじゃない」 ミカミの呟きでその考えは一蹴された。