「千亜樹、行ってきなよ!」 迷っていたあたしは奈々から背中をおされて、晴真先輩のところに行く。 「じゃあ、行こうか」 「う、うん……あ、」 スルッと晴真先輩の手が、あたしの手に絡まった。 「先輩、これ、」 「こうしたら、なんだかデートみたいじゃない?」 恋人として過ごすはずだった時間を埋め合わせるかのように。 晴真先輩はあたしの心の中に、いとも簡単に入ってくる。