「……千亜樹ちゃん、どうしたの?」 「晴真先輩も、緊張するの?」 意外だな。 いつも自信満々で、自分の意見を突き通して。 緊張とは無縁の人って感じなのに。 そんなことを考えていたら、あたしの肩に何かが触れた。 ――え。 「は、晴真先輩!?」 「ちょっと、充電」 柔らかい髪が頬にあたって、優しい声が耳をくすぐる。 あたしの家の前なのにっ! 「……俺だって緊張くらいするよ」 「え?」 「大切な女の子のご両親に会いに行くんだから。『娘さんをください』って」