「……千亜樹ちゃんは、俺の大切な人だから」 走って中庭に辿り着くと、そんな晴真先輩の声が聞こえた。 大切な、人? 自然に足を止めて、目の前の2人の会話に耳を傾ける。 「これ以上千亜樹ちゃんに手を出してみなよ、女の子だからってただじゃおかない」 それって、あたしが階段から突き落とされたことを言ってる? っていうか晴真先輩って、こんなこと言う人だったっけ。 そんな低くて強い声、だったっけ。