「千亜樹ちゃん」 あれから晴真先輩に連れて来られたのは、見慣れた保健室。 優しくて、切ない声に耳を傾ける。 「うん」 「話を聞いてほしい」 「……うん」 続く言葉が怖くて、きつく目を閉じた。 「俺が嘘をついてたのは事実だよ。千亜樹ちゃんのお腹に、俺の子どもはいない」 「……うん」 そっか、やっぱりいないんだ。 そう思うとズキズキと胸が痛んだ。