「俺の彼女になってよ、千亜樹ちゃん」 これは、夢なのかな。 あたし、学園の王子さまの彼女になるの? 「……千亜樹ちゃん?」 何も言わないあたしの顔を、立川先輩が覗き込んだ。 今のあたしは、いったいどんな顔してるんだろ。 「あたし、どうしたら……」 「何も考える必要はないよ。ただ、頷けばいい」 力強い、言葉。 あたしが迷う必要なんて、ないの? 何も言わずに頷くのが、あたしにとって一番いいこと?