そう言うと、立川先輩があたしとの距離を詰めた。 そして、甘い香りがあたしを包む。 「え……?」 きゃー!と女の子達の悲鳴があがる。 そんな中、あたしは身動きさえとれなかった。 背中に回った、大きな手。 頬をくすぐる、色素の薄い柔らかい髪。 ――あたし、なんで抱きしめられてるの? 「えっ……ちょっ、立川先輩!?」 「千亜樹ちゃん、よく聞いて」 身体を離した立川先輩の、優しい瞳があたしを捉えた。