「なんでそんな……」 「こんなことされてまで、付き合いたいのか?」 「弥、」 「俺ならこんなこと、絶対させないのに……っ」 ガンッと靴箱の扉が弥の拳で閉められた。 「弥……」 「今ならまだ、間に合う」 「わた……」 腕を引っ張られて、あたしはそのまま弥の腕の中。 「……俺と付き合ってほしい、なんて言わないから」 切なそうな声に、あたしはなにも言うことができなくて。ただ耳を傾けた。