「お前、嫌がらせされてんの?」 まだ生徒が誰もいない靴箱では、弥の声がよく響く。 「嫌がらせ?されるわけないじゃん」 っていうか、される理由がないよ。 「本当に?」 「うん」 「じゃあそれは?」 弥が上履きを指差す。 ――う゛っ。 「こ、これは……」 なにも言い訳できない。 やっぱり嫌がらせなのかな。 あたし、なにかしたっけ……。