「これから勝負っていうのに、余裕っすね」 コートに戻ると、ハンドリングをしながら玉木弥が近づいてきた。 「別に?いつも通りだよ」 気にせず座り込み、シューズの紐を結び直す。 「挑発ですか?千亜樹は自分のモノだって、見せつけるための」 その口調は、どことなく鋭い。 コイツは、本気だ。 本気でこの勝負に勝って、千亜樹ちゃんを俺から奪おうとしてる。