そんなこと、ない。 言いたかったけど、言うことはできなかった。 ……正しいの、弥が言ってることは。 「弥、それは……」 「まだ付き合いたてだから、ってことだろ?だとしても、やっぱり変だよ。何も知らない相手と付き合うなんて」 何て言えばいいかわからず俯くあたしを、温かさが包んだ。 ……え――。 「わた、る?」 「俺にしとけよ、千亜樹」 弥の腕が、あたしの背中に回って、力強い声が響く。