会社を出ると、冬の冷たい風が頬を突き刺す。 「寒ぃー!」 「男のくせに弱っちいわね」 「それ差別っすよ。男だって寒いんです」 伽奈先輩と隆哉の会話を見守るあたし。 この感じ落ち着く。 仕事に打ち込んでいたおかげで、今日は亮佑さんのことをあまり考えずにいれた。 …でも油断したら、こうやって思い出してしまうんだけど。 話す二人の後ろを歩いていると、突然伽奈先輩が立ち止まる。