片桐 統真くんと出逢ったのは八月中旬、夏休みが半分過ぎた頃だった。


『ねぇ、アンタ一人?一人だったら俺の相手してくれない?』


家の近くにある小さな公園。

その公園の隅っこにあるバスケットコートでシュートの練習をしていた時、バスケットボールを持った統真くんに声を掛けられた。


『わ、私で良ければ!』


初対面の男の子。

普段の私ならきっと疑う筈。

それなのに、その時の私は何故か躊躇う事もなくOKしていた。


『ありがと!俺、統真。アンタは?』

『わ、私は乃々華!』

『乃々華?すっげー可愛い名前!』

『あ、ありがとう』


それはきっと、統真くんの笑顔が眩しかったから。

屈託のない笑顔が本当に本当に眩しかったから。

だから一緒にバスケをしたいって思ったんだ。