あぁ。 あいつか。 真っ赤なマフラーを首に巻いて待っている一人の女。

俺はあんまり女が得意じゃねぇ。人の顔や地位だけみて内側なんて誰もみてくれねぇ。 どうせこいつも同じだろ。そう思って声をかけた。

“あの…好きです!付き合ってください”


あぁ。 やっぱり。 そう思いながら聞く。

“なんで俺のことが好きになったの?”


“その…いっつも優しそうにしていてっ、かっこいいなぁって…”


正直驚いた。 このとき思ったんだ。
こいつだけは他の女と違うんじゃないかって。 中をみてくれるんじゃないかって。 煇じゃなくて俺を 俺自身を見てくれるんじゃないかって。


“君は煇と俺、見分けられるの?”


“はい。 いつもみてますから…!”


そう言って笑う君に 俺は この時点で惚れていたんだーー。

そして 佐野 奈々 と付き合うことになった 冬の12月ーーー。