紅葉に手を伸ばす。 あとちょっと……。 紅葉の手を掴み、抱き寄せた。 紅葉を背中に乗せ、そのまま狼になった。 地面には無事着地できた。 「うぅ~、怖かった……。」 「チキンのくせに無茶してんじゃねぇよ。」 ビルの屋上にはもう丙はいなかった。 丙……。 俺がいつか大切な人を守れるくらい強くなったら、迎えにいく。 そうして共に人の世で暮らそう。 丙は俺のたった一人の家族だから。